ノベライズはじめました〜2
2009.11.07(15:42)
さて、2人が別れて、6年後。ちょーっと、慕橙が光晞に別れを告げる理由が弱い気がしますが、一夜を共にした朝に光晞が目を覚ます前、慕橙の元に光晞ママが現れて、経営危機のために光晞の大事な聖徳堂がなくなるかもしれないが、何会長の娘である以茜と付き合えば聖徳堂もそれを含めた光晞の大事な父親との思い出も守れると言い、そして光晞には話していないが・・・と、光晞ママと光晞パパが別れた理由を話すのです。
光晞ママは、息子を愛するがゆえに自分が憎まれても、光晞の父親に対する想いを守ってきたんだと気づいた慕橙は、光晞が以茜と一緒になることで聖徳堂も守れて、光晞が幸せになるならと、光晞に酷い言葉を投げつけて、目を覚ましたばかりの光晞の前から、荷物をまとめて、花拓也と共に家を出て行ってしまいます・・・。
6年後・・・
慕橙は、光晞の病気のことを知らないまま、光晞の幸せを願い続け、花拓也の支えもあり、花田村でシングルマザーになります。
息子と2人暮らしていくために、花田村で花の栽培をして生計を立てている慕橙。少しの暇もなく、朝から晩まで畑で働き、一息つく時には、光晞の面影に幸せかどうかと問いながら・・・。
その頃、光晞は台北で脳腫瘍の手術の後、それまでの一切の記憶を失くし、弁護士として6年間を過ごしていました。小林弁護士は、そんな光晞を見るにつけ、光晞ママに本当にそれでいいのかと問いますが、母子関係も良好、そして何より寰宇建設の将来の娘婿の地位が確定している今のままが本来の光晞のあるべき姿だと、小林弁護士の言葉には耳を貸しません。
そんなときに、光晞はある事件の被告人の弁護をすることになります。
そう、慕橙を弁護したときとは反対に、女性を犯そうとした有名な国会議員の弁護をすることとなったのです。気の進まない光晞に、光晞ママは知名度も上がるし、何より相手は有名な国会議員だからと、その弁護を引き受けさせるのです。そして、光晞の見事な弁護のおかげで、国会議員は無罪になりますが、法廷の後、光晞は何故か依頼人に殴りかかるという事件を起こし、罰としてボランティア300時間を言い渡されるのです。
光晞が、国会議員を殴った理由、それは、法廷終了後の会話で国会議員が相手の女性は身体を許して当たり前だ、自分は彼女にたくさんの貸しがあるのだからと言った言葉を聞いて、頭に血が上ったからでした。
弁護士として言い渡されたボランティアは、花田村での法律相談でした。
光晞、以茜、光晞ママ、何会長と4人で食事をしながら、ボランティアで花田村に行くのなら、田舎者の相手をするよりも、寰宇建設に協力してくれないかと言い出す何会長。
実は、花田村の土地の権利を手に入れたのに、住民たちが立ち退きを拒否しているから、説得をして欲しいということだった。婚約者である以茜の父親の頼みであり、将来の義父の頼みだからお安い御用とばかりに、光晞は花田村へ向かうのでした。
6年前を彷彿とさせる高級車で花田村へ向かっていた光晞だったが、途中でタイヤがパンクしてしまったが、レスキューを呼ぼうにも携帯の電池が切れ、しかも誰も通りかからない。
そんな閑散とした田舎に悪態をつきながら、途方にくれていた。
そこへ、1台のバスが通りかかる。
乗せていってもらおうとするが、バスは無常にも光晞の横を通り過ぎてしまった。
バスの中では、慕橙と小樂が歓迎会の準備のために会場に向かっていた。
窓の外を見ていた小樂が止まっている車を見つけ、慕橙に言うが、慕橙は車の持ち主が困っているだろうとは思うものの、シングルマザーというだけで評判の悪い自分が、花田村で生きていくためには準備に遅刻することはできないと、運転手に声をかけようか迷ったものの、その場を通り過ぎてしまう。
土地の立ち退き問題が紛糾している花田村では、相談にのってくれる弁護士先生が来ると盛り上がり、村長を始めとする村人たちが光晞の歓迎会を準備していた。そこで、慕橙は村長に花束贈呈の役を任されることとなる。やはり、目立つことはやりたくないが、花田村での生活、とりわけ小樂のことを思って、その役を引き受けることにする。
一向に現れない弁護士先生を迎えに行くという村長の会話を聞いた小樂は、きっとバスの中から見たあの見たこともない車の元へいけるのだと、こっそり村長の車の荷台へと隠れてついていくことにする。
そっこり潜り込んだ村長の車の中から小樂が見たものは、宇宙人の車だった。
「宇宙人だ!」
心を躍らせて村長の車から飛び降りると、その車のそばで村長と話をしている人物をじっと観察してみる。サングラスをかけ、白いスーツを着た姿は、まさにママが話していたパパと同じだった。身長が高くて、がっしりした体格、村長に向かって文句を言う姿は短気。
・・・ひょっとして宇宙人ってみんなこうなのかな?
小樂はたまらずにこの宇宙人のおじさんへと手を伸ばした。
「誰だ?」
光晞が下を向くと、
「おじさん、おじさんはどの星から来たの?おじさんは小樂のパパに会ったことある?」
***
この子供はどこから沸いてきたんだ?
あっけにとられた光晞と村長の2人の間に現れた小樂は、光晞にまとわりついていろいろと聞いてくるのだが、光晞にとっては雲をつかむような、おかしなことばかりだった。
「ボウズ、俺は宇宙人なんかじゃないと言ってるだろう。俺の母星は地球なんだ、いいか?」
「ホントに違うの?でも、おじさんのメガネ、着てる服、それから・・・」
小樂はオープンカーを指さした。
「おじさんの車、ぼくの花田村のとは全然違うよ。」
それはこの村がダサいからで、当然こんなイカしたもんは見たことがないだろうな。
光晞はそう言いたかったが、村長が目の前にいることで何とか口をつぐんだ。
「とにかく、俺は宇宙人じゃないし、お前の父親に会ったこともない。」
「ホントに?」
だいぶガッカリした小樂は、それでも周りをきょろきょろと見回すと、光晞の手にはめられたブレスレットを見つけた。
「キラキラだね!これって秘密の通信機でしょう?宇宙人はこれを使って連絡を取り合うんでしょう?」
何が秘密の通信機だ!
光晞はあきれてしまった。
「これは普通のブレスレットだ。」
「でも、ママが僕に、これは秘密の通信機だって言ったんだ。ママは絵を描いて見せてくれたんだよ。これと同じだったんだ!」
小樂は、それでも言い張った。
「ママが描いた絵にはメモリーカードが入ってるんだ。宇宙人と故郷の友だちが連絡できるようにね。」
これは、何のおとぎ話なんだ?このわけの分からないボウズにして、わけの分からない母親かよ。
光晞はブレスレットと外すと、強調するように
「よく見ろ!これはただのブレスレットだ。メモリーカードなんかない。秘密もない。普通の物だ!OK?」
小楽はブレスレットを受け取ると、ひっくり返して見てみるが、やはり何も見出せない。小楽は諦めきれずに、ブレスレットに力を込めた。
「おい!何してるんだ?」
光晞は驚いて、ブレスレットを取り上げた。
「むやみなことをするなよ!」
「ほら、おじさんがそんなに緊張するなんて、きっと何かあるんだ。」
小楽は意味ありげに光晞を見上げた。
「ここに秘密が隠されてるんでしょう?そうでしょう?」
「そうじゃない!」
光晞は反論をしたが、自分が意外にも一人の少年と真剣に言い争っていることが、面倒になり、くだらないと思った。
「ただ、このブレスレットは俺には大事なものなんだ。」
「どうして?」
「それは・・・」
光晞は、はたと気づいた。
そうだ、どうしてなんだ?
実は、光晞にもこのブレスレットのことは何も記憶がない。ただ分かっているのは、光晞が手術から目覚めたとき、以茜が手にはめてくれたのだ。しかし、以茜にすらこのブレスレットについては何も知らなかった。
「とにかく、お前はもう触るな!」
光晞はブレスレットをスーツの内ポケットにしまった。
小樂の虎視眈々とした視線から遠ざけるように。
「でも・・・」
小樂がまだ何か言おうとしたが、村長が小樂の頭をなでた。
「もういい、小樂。弁護士先生とケンカするんじゃない。お前が悪い子だってママが知ったら、怒られるぞ。」
「分かったよ。」
小樂は口を尖らせたが、大人しく座った。しかし、その目はやはり光晞のから離さずに、光晞は小樂に見つめられ窮屈だった。
全く面倒だ。
光晞は、子供の扱いが全く分からない。彼の婚約者は小児科の医師で、1日中子供と戯れていたが、彼には少しも彼女の母性は感染していなかった。
ようやく会場へ着き、光晞は車から飛び降りた。小樂から逃れるように。
***
「小樂、どこに行ってたの?」
慕橙は会場で小樂を会場で見失い、焦って探し回っていた。とにかく小樂が入り口から走りこんでくるのを見て、ため息をはいた。小樂を抱きしめると、
「ママがどれだけ心配したか分かってる?」
「ママ、僕ね宇宙人のおじさんに会ったんだよ。おじさんの手にはママが話してくれたあの通信機があったんだ。」
小樂は、嬉しそうに先ほどの出会いを話し出した。
慕橙はわけが分からず、詳しく聞きたかったが、村長がやってきて、手渡すための花束を渡された。
「急いでくれ、慕橙。弁護士先生が来たぞ。このあと、君が彼に花束を渡すんだ。」
「はい、村長。」
慕橙は立ち上がると、村長から花束を受け取った。
村長は壇上に上がると、マイクを掴んだ。
「test、test。」
喉の調子を整えると、
「花田村の皆さん、ごきげんよう。村長です。今日は皆さんに、新しく来た弁護士の先生をご紹介します。彼は、とてもすごい先生で、台北からいらっしゃった・・・」
長い長い、意味のない挨拶に、村民たちは嫌な顔をせずに、首を伸ばして、舞台の後方の椅子に座っている神様を見たいだけだった。残念なことに、村長と村民代表に遮られて、ちょうど重要な人物は見えなかった。
「もういいよ、村長!早く弁護士の先生を出しておくれよ!」
ある村民が声をあげた。
「いいでしょう。それでは、これから弁護士の先生にご挨拶していただきましょう。」
村長が言うと同時に、慕橙に手招きをした。
慕橙は頷くと、集まった人の群れの中を、ようやく台上に上がり、村長のそばの男性へと花束を差し出した。
「クソッ!何だこれは!」
男性は、悪態をつくと、くしゃみを始めた。
「あんたたち、会場中に花をおきまくって、俺を殺したいのか?」
――この乱暴な声、聞いたことがあるような・・・
慕橙は、ゆっくりと頭を上げると、その目に映ったのは、慕橙が夢の中で何千回も見た顔、よく知っている、心が痛むその顔だった。
「光・・・晞?」
「ダメだ!もう耐えられない!」
光晞は、大きなくしゃみをすると、急に胸を押さえると、呼吸ができないような感じで、前に倒れた。
ちょうど正面にいた、慕橙の胸の中へ・・・。
慕橙は必死に彼を支えると、慌てふためいて叫んだ。
「光晞!!」









